「スマホ代、もう少し安くならないかな」
そう思って調べると、「乗り換えでポイント還元」「端末が実質○円」「月額○円から」と、魅力的な言葉が並びます。
ただ、スマホの乗り換えで難しいのは、安く見える契約と、自分にとって安い契約が必ずしも同じではないこと。
月額料金は下がったのに、新しい端末の支払いが増えた。割引を受けるために、不要なサービスまで契約した。料金は安くなったけれど、よく使う場所でつながりにくくなった。
そんな失敗を避けるために、今回は「スマホの賢い乗り換え方」を、家計の視点から整理します。
① 最初に見るのは、乗り換え先の広告ではなく「今の明細」
スマホ代が高いと感じたら、まず現在の請求を分解してみましょう。
・通信プランの料金
・スマホ本体の分割代金
・通話料、通話オプション
・端末補償やその他の有料サービス
例えば、毎月8,000円払っていても、そのうち3,000円が端末代なら、通信料金だけを安くしても請求全体が一気に2,000円になるわけではありません。
比較する際は、今の請求総額と、乗り換え先の「通信料金だけ」を並べないこと。端末代やオプションまで含め、同じ条件で見る必要があります。
次に、直近3カ月ほどのデータ使用量を確認します。
毎月5GB程度しか使っていないのに、大容量プランを契約していないか。逆に、安い小容量プランにして、毎月データを追加購入していないか。
「念のため」の容量に、毎月いくら払っているか。ここを知るだけでも、見直しの方向が見えてきます。
② 「回線の乗り換え」と「スマホの買い替え」を分けて考える
乗り換えを考えると、つい新しいスマホも欲しくなります。
しかし、今の端末に大きな不満がなければ、端末を使い続けて、通信会社だけ変える方法もあります。
例えば、通信料金を月3,000円下げられても、同時に買った新しいスマホの支払いが月4,000円増えれば、当面の毎月の支出は1,000円増えます。
新しい端末を買うこと自体が悪いわけではありません。ただ、「節約のための乗り換え」と「欲しい端末の購入」は分けて判断すると、予算を見失いにくくなります。
今の端末を使う場合は、乗り換え先の公式サイトで動作確認端末を調べましょう。古い端末などでSIMロックが設定されている場合は、解除の手続きも必要です。NTTドコモ
③ 「実質○円」は、返却条件まで読んで判断する
端末の広告で見かける「実質負担○円」。
ここで確認したいのは、その金額で端末を持ち続けられるのか、それとも一定の時期に返却することが条件なのか、という点です。
返却型の購入プログラムなら、少なくとも次の内容を確認しましょう。
・いつまでに返却する必要があるか
・返却せずに使い続ける場合、総額はいくらになるか
・故障や画面割れがある場合、追加負担や特典の制限があるか
・特典の利用に、別途費用や買い替え条件があるか
実際に、通信会社の返却プログラムには回収・査定条件が設けられており、内容はプログラムによって異なります。広告の金額だけで判断せず、契約する制度の条件まで読むことが大切です。スマートフォン・携帯電話
短い周期で買い替えたい人と、一台を長く使いたい人では、向いている買い方も変わります。
④ 比べるのは「最安月額」より「2年間でいくら払うか」
料金プランは、月額だけでなく、一定期間の総額にそろえると比較しやすくなります。
基本の考え方は、次のとおりです。
2年間の負担額
=24カ月分の通信料金+端末の負担額+手数料+必要なオプション料金−確実に受け取れる特典
期間限定の割引がある場合は、割引中と終了後を分けて計算します。端末の支払いが2年後も続く場合は、残る支払いも別に確認してください。
例えば、以下は実在のプランではない、比較用の仮定です。
A:月額2,000円、還元なし
B:月額3,000円、20,000円相当の還元あり
2年間の通信料金は、Aが48,000円、Bが72,000円。Bで還元を満額受け取っても、負担は52,000円相当です。
「2万円もらえる」という印象ではBが魅力的でも、この条件ならAのほうが4,000円分安くなります。
また、ポイントは現金と使い勝手が違います。有効期限や用途の制限があり、普段使わないサービスのポイントなら、額面どおりの価値があるとは限りません。
特典は、受け取り条件を満たせて、無理なく使える分で評価しましょう。
⑤ セット割は「家族と自宅のネット代」まで含めて見る
家族割やインターネットとのセット割を使っている場合、自分のスマホ代だけでは判断しきれません。
一人が乗り換えることで、残る家族の割引が変わる可能性があります。また、スマホの割引を受けるために自宅のネット回線まで変更すると、工事費や現在の契約の解約費用が発生することもあります。
確認したいのは、乗り換え後の「世帯全体の通信費」です。
自分の料金が月1,500円下がっても、家族やネット回線の負担が合計で月2,000円増えれば、家計全体では割高になります。
乗り換えで既存の割引条件が外れる場合があることは、国民生活センターの解説でも注意点として挙げられています。kokusen.go.jp
⑥ 自分に合うのは、どんな契約?
スマホの使い方によって、優先する条件は変わります。
自宅や職場のWi-Fiをよく使う人
まずは小容量プランを候補に。外出が多い月の使用量も確認し、容量を超えた場合の速度や追加料金を比較しましょう。
外出先で動画やテザリングをよく使う人
月額の安さだけでなく、必要な容量、テザリングの条件、よく使う場所の通信状況を確認します。データの追加購入が続くなら、大きめのプランのほうが合う場合もあります。
電話をよくかける人
データ容量だけでなく、通話料金まで含めて比較しましょう。「短時間の通話が多い」のか「一回の電話が長い」のかでも、合うオプションは変わります。
設定やトラブル対応が苦手な人
店舗で相談できるか、初期設定を手伝ってもらえるかも比較材料です。自分で対応する時間や負担まで考えると、サポートのある契約に価値を感じる人もいるでしょう。
料金が安くても、自分の使い方に合わなければ満足度は下がります。「いちばん安い契約」より、「必要な条件を満たす中で安い契約」を探すのが現実的です。
⑦ 申し込む前に、ここだけは確認する
候補が決まったら、最後に次の項目を確認しましょう。
・割引終了後の月額料金
・現在の端末に残っている支払い
・契約・解約にかかる費用と日割りの扱い
・家族割やセット割への影響
・キャリアメールを継続する場合の条件と料金
・自宅、職場、よく行く場所の対応エリア
・今の端末の対応状況、SIMやeSIMの設定方法
・キャンペーンの申請期限と受け取り条件
電話番号を引き継ぐ場合は、乗り換え先のMNPの案内に沿って進めましょう。対応する組み合わせでは、MNP予約番号を事前に取得せず申し込める「ワンストップ方式」も利用できます。nihontsushin.com
また、電話番号を残したい場合は、MNPの手続きを進める前に、今の回線を自分で解約しないよう注意してください。
⑧ 契約したら、翌月の請求まで確認する
乗り換えが終わっても、一度は請求明細を確認しましょう。
見積もりどおりの料金になっているか。不要なオプションが付いていないか。特典を受け取るための手続きが残っていないか。
国民生活センターには、携帯電話の契約時に不要なオプションを付けられたという相談も寄せられています。無料期間のあるサービスでも、その後に課金される条件を確認しておくことが大切です。kokusen.go.jp
特典の申請期限や、端末の返却期限がある場合は、その場でカレンダーに登録しておくと安心です。
スマホ代の見直しは、「我慢しない節約」になりやすい
仮に、使い勝手を保ったままスマホ代を月3,000円下げられれば、年間36,000円、2年間で72,000円の差になります。
もちろん、手数料や端末代が増えれば、その分は差し引いて考える必要があります。それでも、一度の見直しが、その後の毎月の支出に効いてくるのは固定費ならではのメリットです。
賢い乗り換えの第一歩は、今の明細とデータ使用量を確認すること。そして、通信料金と端末代を分け、割引条件まで含めた総額で比べることです。
「毎月いくら安くなるか」だけでなく、「その安さがいつまで続き、何を条件にしているか」まで見る。それが、納得できる乗り換えにつながります。
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