あなたが気をつけても、個人情報は漏れる? 相次ぐ流出の理由と、お金を守るための対策
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女性 / 30代投稿日: 2026/10/12
ネット通販、会員アプリ、病院、勤務先。私たちはさまざまな場所に情報を預けています。自分が怪しいサイトを開かなくても、預け先で事故が起これば、被害に巻き込まれる可能性があります。
では、なぜ個人情報の流出がこれほど目につくのでしょうか。そして、個人として何をすればよいのでしょうか。
大切なのは、企業からの流出を個人の注意だけで防ぐことはできなくても、その後の不正利用や金銭被害を抑える備えはできる、ということです。
■ 本当に「流出が急増」しているのか
まず、ニュースを見た印象と、統計は分けて考える必要があります。
個人情報保護委員会の2025年度の年次報告によると、個人情報取扱事業者等からの漏えい等報告の処理件数は17,139件。前年度の19,056件から減少しています。一方、行政機関等については2,278件で、前年度の1,951件から増加しています。
この数字は流出した人数ではなく、報告の処理件数です。また、情報の紛失や毀損、それらのおそれがある事案も含むため、すべてがハッキングによる流出というわけではありません。ppc.go.jp
つまり、「個人情報流出はどの分野でも毎年急増している」とは言い切れません。それでも、多数の利用者に影響する事件が起きれば、私たちの生活に関わる問題として強く意識されます。
■ なぜ今、個人情報が狙われるのか
① 情報を盗むことが、お金につながるから
サイバー攻撃というと、システムを壊す行為を想像するかもしれません。しかし、情報そのものも、企業を脅す材料になります。
データを暗号化して「戻してほしければ払え」と要求する。さらに、情報を盗み「公開されたくなければ払え」と要求する。暗号化をせず、盗んだ情報だけで金銭を要求する攻撃もあります。
IPAの資料では、攻撃用のソフトや認証情報の提供、攻撃代行などが行われていることも説明されています。情報流出の背景には、こうした犯罪の仕組みがあります。ipa.go.jp
② 利用している会社以外にも、情報の預け先があるから
私たちが登録した会社が、すべてのシステムを自社だけで管理しているとは限りません。
問い合わせ対応やシステム運用などを外部に委託していれば、委託先の被害が利用者に及ぶこともあります。
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向けの脅威として、ランサム攻撃が1位、サプライチェーンや委託先を狙った攻撃が2位に選ばれています。IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
有名な会社を使っていることだけで、流出の可能性をゼロにすることはできないのです。
③ 高度な攻撃だけでなく、基本的な弱点も狙われるから
システムの欠陥を修正せずに使い続ける。公開範囲を間違える。盗まれたIDとパスワードで侵入される。
攻撃者は、こうした弱点も利用します。内部の不正など、外部からの攻撃以外にも情報が漏れる経路があります。ipa.go.jp
「ものすごい技術で突破された」というケースばかりではなく、日々の管理や設定の問題も関係しています。
④ 詐欺の文章が自然になり、見た目で判断しにくくなったから
以前なら、不自然な日本語を見て偽物だと気づけたかもしれません。
しかし、IPAは生成AIによる翻訳などが、違和感の少ないフィッシングの文面作成を容易にすると指摘しています。ipa.go.jp
ただし、最近の流出をすべてAIのせいにすることはできません。個人が意識したいのは、「文章が自然だから本物」とは判断できない、という点です。
■ 名前やメールアドレスだけでも、油断できない理由
名前やメールアドレスの流出と、カード情報やパスワードの流出では、必要な対応は違います。名前が漏れたからといって、それだけで口座のお金が引き出されるわけではありません。
ただし、漏れた情報を使って、本物らしい連絡を作られる可能性は考えておきたいところです。
たとえば、「○○様、先日のご注文について確認があります」というメール。自分の名前や利用したサービス名が入っていれば、つい信用しそうになります。
これは想定例ですが、実在する企業を装って偽サイトに誘導し、パスワードなどを盗むのがフィッシングの手口です。IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
流出のお知らせを受け取った後は、続いて届く「確認」「補償」「返金」の連絡にも注意しましょう。
■ 個人が優先して取るべき対策
① パスワードの使い回しをやめる
ひとつのサービスで漏れたIDとパスワードを、別のサービスでも試す攻撃があります。
通販とメール、SNS、金融サービスで同じパスワードを使っていると、ひとつの流出が別の被害につながる可能性があります。IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
まずは、普段使うメール、銀行・証券、決済サービスから、長く、推測されにくい別々のパスワードにしましょう。管理には、端末に標準搭載された機能や、信頼できるパスワード管理ツールを活用する方法もあります。
② パスキーや多要素認証を設定する
対応しているサービスでは、パスキーの利用を検討しましょう。パスワードの代わりに、端末のロック解除などを使ってログインする仕組みです。
パスキーに対応していなければ、多要素認証を設定する。パスワードだけでログインできる状態を減らすことが、不正ログイン対策になります。IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ただし、届いた認証コードを人に教えたり、身に覚えのない認証要求を承認したりしないことも必要です。
③ 「確認はこちら」を押さず、公式アプリを自分で開く
「不正利用を検知しました」
「本日中に確認しないと利用停止になります」
こんな連絡が来ても、メールやSMSのリンクからログインしないようにしましょう。
いつもの公式アプリや、登録済みのブックマークから確認する。電話する場合も、届いたメッセージの番号ではなく、公式サイトやカードに記載された窓口を使います。
差出人名や文章を見抜くことに頼るより、確認する入口を決めておく方が続けやすい対策です。IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
④ 利用通知をオンにして、明細を確認する
カードや銀行、決済アプリで利用通知が提供されていれば、有効にしておきましょう。
通知は不正利用を完全に防ぐものではありませんが、異変に気づくきっかけになります。少額だからと放置せず、身に覚えのない決済は事業者に確認してください。
通知だけに頼らず、定期的に公式アプリで明細を見る習慣も持ちたいところです。
⑤ スマホやパソコンの更新を後回しにしない
OSやアプリの更新には、セキュリティ上の欠陥を修正するものが含まれます。自動更新を有効にし、再起動が必要な更新も放置しないようにしましょう。
また、アプリは公式ストアなど信頼できる配布元から入手し、不必要な権限は与えないことも大切です。IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
⑥ 情報を渡す前に「本当に必要か」を考える
買い物に必要な住所などは提供する必要があります。一方で、任意の項目まで、毎回すべて埋める必要はありません。
使わなくなったサービスや、不要なアプリの連携も見直してみましょう。
ただし、退会すれば過去の情報がすべてすぐに消えるとは限りません。保存期間や削除方法は、サービスの案内で確認してください。
■ 「あなたの情報が流出しました」と通知が来たら
慌ててすべてのカードを止める前に、公式サイトなどで通知の真偽と、流出した情報の種類を確認しましょう。
名前やメールアドレスが対象なら、不審な連絡への警戒を強める。
パスワードが対象なら、そのサービスと、同じパスワードを使っている別のサービスで速やかに変更する。
カード情報が対象なら、カード会社の公式窓口に連絡し、停止や再発行が必要か相談する。
不正ログインが疑われる場合は、登録メールアドレスや電話番号が変更されていないかも確認してください。ログインできなくなっていたら、サービス提供者の公式の復旧手続きを使います。IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
不正な決済や送金が起きている場合は、明細や通知を保存し、金融機関・決済事業者に速やかに連絡しましょう。お金を取り戻せるかどうかは、サービスの規約や被害状況などによって異なります。
■ 今日やるなら、この3つから
まず、普段使うメールのパスワードが、ほかのサービスと同じになっていないか確認する。
次に、メールと金融サービスで、パスキーや多要素認証を設定する。
そして、カード・銀行・決済アプリの利用通知をオンにする。
多くのサービスでは、メールを使ってパスワードを再設定します。だからこそ、メールの保護も優先したい対策です。
個人情報の管理は、企業が果たすべき責任です。被害に遭った利用者が、すべてを背負う必要はありません。
そのうえで、自分が変えられる設定や習慣を整えておく。毎日すべてのニュースを追い続けるより、まずは身近なアカウントの守りを固めることが、お金と暮らしを守る一歩になります。
■ お金の管理も、この機会に整理してみませんか?
使っていない口座やカード、把握しきれていない毎月の支払い。家計を見直すことは、自分のお金の動きを確認しやすくすることにもつながります。
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※2026年10月12日時点で確認できた公開情報に基づいています。