硤合憲三さんノーベル賞で株は買い?「受賞ニュース」の先で注目したい日本株3社
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女性 / 30代投稿日: 2026/10/08
ノーベル賞のニュースを見ると、「この研究に関係する会社の株も上がるのでは?」と気になる人もいるのではないでしょうか。
世界に認められた研究。その技術を使う企業。これから広がるかもしれない市場。投資のヒントとして、気になる材料がそろっています。
ただし、「すごい研究」と「今買うと得をする株」は、そのまま同じ意味にはなりません。企業に利益が入る仕組みと、すでに株価に織り込まれた期待を確認する必要があります。
今回は、2026年のノーベル化学賞・生理学医学賞を入り口に、関連する事業を持つ日本企業3社を紹介します。選んだ基準は研究テーマと事業の接点であり、割安さや短期の値上がりを評価したランキングではありません。
【今年の化学賞は、分子の「右手・左手」に関する研究】
2026年10月7日に発表されたノーベル化学賞は、アンリ・カガン氏と、東京理科大学のKensō Soai(硤合憲三)氏に授与されました。受賞テーマは、不斉有機合成における非線形効果と自己触媒作用です。
少し難しいですが、入り口は「右手と左手」です。
両手はよく似ているのに、重ねてもぴったり一致しません。分子にも、このような鏡写しの関係にあるものがあります。この性質が「キラリティー」です。
受賞研究は、片方の形がわずかに多い状態から、その偏りが大きくなる仕組みなどを明らかにしました。
ここから企業を探すと、「目的の形の分子を作る」「できた分子を分ける・調べる」という事業が見えてきます。
なお、以下の2社はキラル分離や不斉合成に事業の接点がある企業です。今回の受賞研究について、特許や独占的な商業化権を保有していると確認したわけではありません。
【注目企業① ダイセル(証券コード:4202)】
薬づくりを支える「分ける技術」
ダイセルは、鏡写しの関係にある分子を分ける「キラルカラム」を扱っています。医薬品などの成分を分析したり、必要な側の分子を取り出したりするために使われる技術です。株式会社ダイセル
新薬そのものを開発する企業だけでなく、その研究や製造に必要な道具を提供する企業にも目を向ける。そんな探し方で候補になる会社です。
投資の仮説としては、関連する医薬品の開発や製造が増えれば、分離・分析の需要も増える可能性があります。ただし、受賞で需要が増えることや、ダイセルの受注が増えたことを確認したわけではありません。
見るべきなのは、ライフサイエンス事業の売上・利益の推移と、その伸びが会社全体にどれだけ影響するかです。
ダイセルは、自動車のエアバッグ関連製品や電子材料なども手がけています。キラル分離に魅力を感じても、株を買えば会社全体の業績を引き受けることになります。
「関連技術を持っている」から一歩進み、「その技術が利益のどれくらいを生んでいるか」を確認したい企業です。
【注目企業② 高砂香料工業(証券コード:4914)】
香りの会社が持つ、医薬品製造の技術
高砂香料工業は、社名から香水や食品の香りを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、医薬品中間体などを扱うファインケミカル事業も展開しています。高砂香料工業株式会社
同社は、目的の立体構造を持つ分子を作り分ける不斉合成技術を活用し、医薬品中間体の製造プロセスなどを提供しています。触媒の提供やライセンス、受託研究・製造といった事業にも接点があります。高砂香料工業株式会社
ダイセルを「分ける」側として見るなら、高砂香料は「作り分ける」側として調べられます。
ただし、不斉合成という共通点だけで、今回の受賞が直接売上につながると考えるのは早計です。大切なのは、顧客の製品開発や製造の中で技術が採用され、継続的な収益になるかどうかです。
決算で確認したいのは、ファインケミカル事業の規模、利益への貢献、受託製造の需要や設備稼働の動向です。香料など他の事業の動きも、あわせて見る必要があります。
社名だけでは見えにくい技術を知る面白さがある一方、知った瞬間に割安になるわけではありません。
【注目企業③ 浜松ホトニクス(証券コード:6965)】
医学賞の研究を支える「光の道具」
2026年のノーベル生理学医学賞では、光を使って神経細胞の活動を制御する「オプトジェネティクス(光遺伝学)」の発展に貢献した研究者3人が選ばれました。Stanford Report
このテーマから、研究に使う光の道具を供給する企業として調べられるのが浜松ホトニクスです。浜松ホトニクス
同社は、光遺伝学の研究で特定の場所に光を当てる用途に、自社のLCOS-SLMというデバイスを紹介しています。照明のパターンを変え、狙ったエリアへの光照射を可能にするものです。浜松ホトニクス
ここには、研究の広がりに伴って実験機器や部品の需要が増えるか、という投資の仮説があります。
ただし、研究支援機器の事業と、新しい治療法で収益を得る事業は区別が必要です。「脳の病気の治療に期待」というニュースだけで、同社に大きな利益が入るとは判断できません。
確認したいのは、関連製品の販売や研究機関からの需要が、会社の説明や決算に表れているか。さらに、その需要が会社全体の業績にとって十分な大きさか、という点です。
【「関連株」を見つけた後に、確認したい3つのこと】
1つ目は、ニュースと売上の間に、具体的なつながりがあるか。
研究が話題になり、研究費や設備投資が増え、その企業の製品が選ばれ、受注が増える。その先でようやく業績への影響が見えてきます。途中の段階を飛ばして考えないことが大切です。
2つ目は、関連事業の成長が会社全体にどれくらい効くか。
例えば、仮に関連事業が全社売上の5%なら、その事業が20%伸びても、他が変わらなければ全社売上への影響は約1%です。
これは説明用の仮定ですが、「関連している」と「業績を大きく動かす」の違いがわかります。利益への影響は、事業ごとの利益率によってさらに変わります。
3つ目は、期待をいくらで買うのか。
仮に1株利益が100円の会社なら、株価1,000円ではPER10倍、2,000円ではPER20倍です。同じ会社でも、買う値段が違えば、その利益に払う金額は変わります。
実際の判断では、最新の株価、利益予想、過去の評価水準、財務状況を確認しましょう。赤字や一時的な利益がある場合など、PERだけでは評価しにくいこともあります。
【「受賞がなくても持ちたいか」と考えてみる】
今回の3社は、分子を分ける、作り分ける、光で研究を支えるという、それぞれ異なる事業の接点を持っています。
ノーベル賞は、普段知らなかった企業や技術を知るきっかけになります。そこから投資に進むなら、次は決算と価格を調べる段階です。
買う前に、「ノーベル賞のニュースがなくても、この会社を持ちたいだろうか」と考えてみてください。
顧客に選ばれる理由、利益を生む仕組み、今の株価で買う理由まで説明できれば、話題を追うだけの判断から一歩進めます。
【気になる株を買う前に、自分の家計にも目を向けよう】
「この会社が気になる」と「自分がいくら投資できるか」は、別々に考える必要があります。
近いうちに使う予定のお金や、収入が減ったときに生活を支えるお金まで投資に回すと、必要なタイミングで値下がりしていても売らざるを得なくなることがあります。
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※2026年10月8日時点の公開情報に基づく記事です。3社は事業上の接点から挙げた調査候補で、受賞による増収や株価上昇を確認・予測したものではありません。最新の株価・割安性の比較は行っておらず、特定銘柄の購入を推奨するものではありません。